合併を計画するH.J.ハインツ社とクラフト・フーズ・グループ社
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ31HJP_R30C15A3MM8000/
米食品大手のクラフト・フーズ・グループとケチャップで有名な米HJハインツは25日、2015年後半をめどに合併することで合意したと発表した。両社によると、合併後の新会社は食品・飲料業界で北米3位、世界5位の規模になる。北米市場が中心のクラフトと海外に販路を持つハインツの合併により、世界市場でのシェア拡大を目指す。
世界的ブランドであるH.Jハインツ社とクラフト・フーズ社は長年親しまれたブランドを持っていますが、消費者のヘルシー志向の高まりと、ニーズの変化に対応できていないという共通点があります。
オーガニックといわれる有機ナチュラルメーカーとの競争が激化しているなか、年間10億ドル以上のブランドを8個もち収益力は高くなっている。そのため、合併をすることにより小売りスーパーへの影響力は高まります。
H.Jハインツとクラフト・フーズの強み弱み
クラフト商品はアメリカ人の98%が使用という圧倒的な認知率。
年間280億ドルの売り上げと数十億ドルの純利益を生み出す圧倒的な収益性
昔からなじみのあるブランドであるため、多数の消費者は購入していますが、最近は消費者が買わない傾向がでてきました。
ハインツとクラフトの弱み
ヘルシー志向とという消費者のニーズの変化に対応できず、中小メーカーが急成長する、有機・ナチュラルブランドとの競争が激化し、売り上げが減少し、販売数量も下がっています。
[ハインツ]オーレ・イーダ・ベーグル・バイツ(冷凍フライドポテト)の売上は2010年以来20%減
[クラフト]チーズウィズ(瓶入りチーズソース)の売上は2010年以来10%減→全米シェアを40%まで落とす
ヘルシー志向を求める消費者は年々加工食品から離れていきます。これは業績が悪化しているコカ・コーラと同様です。ハインツとクラフトは合併することにより、顧客との関係をさらに強化していきます。その目的は、売り上げに大きく影響する売り場の確保。売り場の面の拡大は売り上げに大きく影響があることは間違いありません。しかしながら、最近日本もそうですが、スーパー含め小型店の出店があいつぎ、大規模店いわゆる大量に商品が陳列できる、お店が少なくなってきています。 これは、単身世帯の増加や高齢化にともなうもの。
また、NB商品は小売店での影響力が下がり、売り場はどんどん縮小する一方です。ナチュラル志向の消費者が増えればさらに、ハインツ・クラフトのよう商品の売り場がなくなっていくのは、容易に想定できます。
このような逆境を変えるため、ハインツ・クラフトは合併を断行しました。
消費者ニーズをとらえた中小企業を大企業が買収するというケースは珍しくありません。コカ・コーラもエナジードリンクの会社を買収しました。しかし 今回のような大手メーカー同士の合併は、
最近珍しいケースです。この合併により、まずはコスト削減に取り組むようです。この背後には、
景気回復著しいアメリカでも依然続く節約志向があるのでしょう。
日本においてもアメリカ同様、PB商品の売り場が拡大することにより、NB商品の売り場はどんどん縮小していきます。
トップバリュを展開するイオンでは、トップバリュファーストという位置づけで、PB品を会社として優先して販売する姿勢がとられています。
花王・ライオン、セブン&アイ向け専用商品を開発
日用品大手の花王とライオンはセブン&アイ・ホールディングス向けの専用商品をそれぞれ発売する。特定の小売り向けに共同開発した新商品は両社とも初めて。従来の小売り向け専用商品は食品が中心だったが、販売先を問わないNB(ナショナルブランド)にこだわってきた花王とライオンが前向きな姿勢を示したことは、他のメーカーにも影響を与えることは間違いありません。 出典:日経新聞
日本においても、PB商品の売り場拡大、店舗小型化が進行することにより、NBメーカーは大変苦戦を仕入れれています。さらに、NBメーカーも大手メーカーの商品に集約されている傾向があります。
一方でローカルでは、各地域のニーズに応えようと、地元ブランドの製品を増やそうという動きも活発化しています。特に野菜においては、地元の農家が販売できる場所の提供をしているスーパーがあります。
岐阜県を本社におくスーパーバローがいち早くその動きをとっています。まるで、道の駅をスーパー内で実現しているようです。
消費者のニーズの変化はとても早く、小売りという消費者ニーズに直結する業態は、今まで以上に変化にはやく対応する必要があります。ナチュラル・健康志向へのニーズの変化に対応できる企業は、実は、中小企業に多く存在します。 今後、今までのように大手が中小を買収するというだけでなく、中小企業同士のM&Aが積極的に行われていくだろうと予測します。
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