ベトナム南部の高原都市ダラットで日本の技術を使った、日の丸ブランドの農業生産が進んでいる。
寒い風土を生かしイチゴやレタスなどの高品質な農産物を通年で栽培する仕組みの試みを開始。
価格は2~4倍だが、品質や安全性の面から現地では支持が広がっている。冷蔵輸出網の整備もはじまり、周辺国だけでなく、日本への輸出も視野に入る。ダラットが東南アジア有数の農産地に成長する可能性もでてきた。
技術指導者、輸出も視野に
ホーチミン市のイオンモールでは、昨年11月から日本のイチゴと日本語ラベルが貼られた商品が並ぶ。価格は300グラム、12万ドン(約700円)と一般商品の約4倍の値段であるにもかかわらず、それでも週3回の入荷後にすぐに売り切れるという。
生産地は車で7時間ほど北に向かったダラット。標高1500メートル級の山あいに合計5000平方メートルの温室が広がる。
日系農業法人 キラクベトナムファーミング
昨年から消毒効果のある電解水を使い、化学肥料も減らした低農薬農法で日本原産のイチゴ、
ペチカ、章姫
を栽培している、現地のイチゴは農薬の使用量が多く、糖度や香りが十分ではない。日本の技術を使えばより安全でおいしいイチゴを作れる。
ダラットの気候は農産物の栽培に適している。同地があるラムドン省の野菜生産量は年150万トン。国内消費量(約1100万トン)の1割以上を満たす農業地帯となっている。
まだまだ低い生産性
零細農家が多く生産性の向上では遅れている。同じ高原野菜の産地でもマレーシアのキャメロン高原に比べて、単位当たりの出荷額は1/9 以下に留まる。ベトナム人は野菜消費量が東南アジアで最も多いこともあり、安全安心に敏感なうえ、糖度の高いトマトなどの高付加価値の作物を求める。日本と協力できることは多い。約45万平方メートルの農場を持つ地場農業法人のフォン社長は日本ブランドを歓迎する。イオンの安全野菜コーナーでも日本の野菜が人気だ。
長野県川上村に本社がある日越合弁会社アンフーラクエは昨年1月、現地で栽培したレタスの出荷を開始。今では地場のコープマート、仏系ビッグC,独系メトロなど、
ベトナムの主要スーパー30社に 朝霧 ブランド
で1日2トンを出荷する。
生産を指導してほしい。レタスの高い品質を見た地元農家から依頼が殺到したため、契約農家に栽培法を教え、規格を満たしたレタスの買い取りも始めた。
地元農家は技術料を払うが、技術も磨けて販路も拡大できる。今年2月には契約農家が栽培した朝霧レタスが初出荷された。今年は香港やシンガポールへの輸出に本格着手する。その先に見えるのは日本。日本では難しい冬場の露地栽培はダラスでも可能。
2015年3月5日 日経新聞より
今後中小零細企業のアジア展開を考えるにあたって、リスクを最小限に抑えるためには、技術の輸出は、現地のニーズに応え、将来性のある展開である可能性が高い。農業に関しては、グローバルの視点でみれば、適地栽培、適地販売が基本であると考えられます。
日本の総胃袋1億2000万よりも、東南アジアの総胃袋は約6億。
狙いは、間違いなくアジアである。