カゴメ、東南アジアで大人気の理由

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・トマトが大嫌いな国」でも、トマトジュースが売れる

・「臭い」と言われ、苦戦続きだったカゴメの海外販売

・「トマトそのもの」ではなく、「美容健康」を伝える

・市場へ提供する「価値」を、定義しなおせ

出典:日経新聞

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出典:東洋経済オンライン

「靴を履かない裸足の国に、二人の靴屋がたどりついた。一人はこう言った。『誰も靴を履いていないとは、見込みなしの最悪の市場だ!!』。もう一人が言ったのは全く逆だった。『誰も靴を履いていないなんて、売り放題の最高の市場だ!!』

要は「物事は捉え方次第」なのだ。今回は、カゴメの東南アジア法人の山本一成社長との対談を踏まえて、「トマトを食べない国で、トマトを売った、カゴメの決断」を取り上げたい。「トマトが嫌いな国でも、トマトを売る秘訣」とは何なのか。

「臭い」と言われ、苦戦続きだったカゴメの海外販売

カゴメといえば、まず浮かぶのが「トマトジュース」。さすがに、名古屋に本社があるということは知らない人もいるかもしれない。だが、トマトジュースに限らず、「野菜生活」などのヒット商品を生み出してきた優良企業として、日本人なら誰もが知っているはずだ。

しかし、そのカゴメも、海外では最近までは、苦戦の連続だった。海外では「KAGOME」という名前はまったく知られていない。しかも、カゴメの最大の強みである「トマト」が、当初は消費者に通用しなかったのだ。

カゴメの東南アジア事業はまさに、そんなどん底からのスタートだった。開始早々、困難にぶち当たった。同社が現地で市場調査をしてみると、「トマト」のイメージが非常に悪い。「美味しくない」どころか、「臭い」とまで言われることが多かったのだ。

野菜や果物が豊富な東南アジアなのに、現地で売られているトマトの品質は悪く、そのまま食べるイメージがない。強いて言えば、東南アジアの人々にとって、トマトは、日本でいう、ひと昔前の『セロリ』のような、「とっつきにくい野菜」のイメージだったのだ。

トマトジュースをそのまま持って行ってもイメージが悪いので、売れない。日本で安定した人気を誇る「野菜生活」は、「忙しくても美味しく手軽に野菜がとれる」いう「提案」が受け入れられた。

だが、東南アジアでは、屋台に行くと、いくらでも野菜や果物が売っている。そのため誰も買ってくれない。また、「日本品質の野菜・果汁100%」では、価格も高すぎて話にならない。

「トマトそのもの」ではなく、「美容健康」を伝える

では、いったい、どんな切り口で「カゴメの価値」を伝えればよいのだろうか。敬遠されるトマトだからこそ、やれることは何か。試行錯誤の末、カゴメが見つけたものは、実は原点である、「トマト」だった。

机の上では、答えは出ない。山本は、現地の家庭を複数の人数で一軒一軒まわり、現地の生活を日々記録してもらい、切り口を考えた。すると、意外や意外、暮らしの中で、「肌の白さ」「美しさ」、さらには健康全般を気にしている層が、当初の想定よりも非常に多かった。女性はもちろんだが、男性も、だったのだ!

特にタイでは、男性でも「自分が出世しないのは、肌が汚いからだ」と真顔で言う人も少なくなかったという(必ずしもそれだけではないはずだが...)。ニューハーフも多く、美意識も高いお国柄だから、だろうか。

試行錯誤の結果、思い切って注目したのは、トマトそのものではなく、トマトに含まれる美容成分「リコピン」だった。現地ニーズに合わせて、リコピンの健康・美肌効果を打ち出し、「トマトそのもの」ではなく、「トマトの中のリコピン」による、「美容健康市場」を創造し、切り開こうとしたのだ。

だが、そこからも苦労の連続だった。リコピンの健康効果を訴求しようにも、「カゴメ製品は健康・肌に良い」という直接的な宣伝は、現地の「薬事法」で禁止されているのだった。

そこで同社が行ったのは、「2段階プロモーション」だ。まずは、カゴメの名前はまったく出さずに、「リコピン=健康に良い」というTVCMを打った(企業名は出さないので法律上もセーフである)。

その後、「カゴメ製品には、リコピンが入っている」というCMを打ったのだ。

これによって、間接的に、「カゴメ=リコピン」+「リコピン=健康に良い」 ⇒「カゴメ=健康に良い」

という図式を成り立たせたのである。

東南アジア法人の山本一成社長。ボトルも味も、現地の市場にあわせている。現地の味は、普通の日本人には甘く感じるはずだ

しかも、なんと、カゴメの最初の製品名を、「カゴメ トマトジュース」でも、「カゴメ 野菜生活」でもなく、「カゴメ リコピン」にしたのだ。これにより、カゴメ製品の「美容健康効果」という価値を、明確に訴求できたのだ。

もちろん、良い製品ができても、流通を押さえない限りは、消費者の棚に届かない。タイでは、パートナー企業の力も借りながら、現地のコンビニ最大手、セブン-イレブンの棚に置いてもらうよう、努力を重ねた。

その結果、生産はOEMとして合弁企業に任せ、カゴメとしては、現地拠点はわずか数名の体制で、タイ全土のセブン-イレブンに並べるという快挙を成し遂げたのだ。

こうして、棚を確保し、認知度を上げた後、今年になってからは、満を持して、徐々に周辺の清涼飲料水へ展開、他のブランドへも商品を広げている。

市場へ提供する「価値」を、定義しなおせ

一連のカゴメのケースからわかることは何か。つまり、「日本の価値」を、そのまま持っていくだけでは、「新市場」では通用しない、ということだ。

自社の強み(トマト)を活かして、現地市場にマッチさせ、「新しい価値」を訴求することができるのか。そして、それを顧客に届ける「仕組み」を構築することができるのか。

実は、筆者は多くの日系企業を支援しているのだが、冒頭の例を借りて言うと、残念ながら、「日本と同じ靴を持っていくだけ」にとどまり、失敗する企業がまだ少なくない。

カゴメの例でわかるように、「靴」を持っていくだけではなく、靴の持っている「価値」を定義しなおし、現地の消費者に届く仕組みを整える。それで初めて、「靴を履かない国」=「トマトを食べない国」「トマトが嫌いな国」でも、靴(トマト)は売れるのだ、ということをカゴメは実証したのだ。

カゴメの東南アジアでの消費者へのビジネスはまだ始まったばかりだ

出典:東洋経済オンラインから抜粋 

http://toyokeizai.net/articles/-/46475

 

 

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このページは、GOKURAKUが2015年4月17日 00:24に書いたブログ記事です。

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